LOVEPAIN⑥
「こいつ、マジ見てて飽きねぇよな?」


そう言って、ねこじゃらしで篤は花子と遊んでいる。



「はい。
私も猫がこんなにも可愛いとは思いませんでした」


「あ?
猫が可愛いんじゃなくて、こいつが最強なんだろうが」


そう少し怒りながらも、私の顔を見てその表情を崩してくれる。


「花子に会えたのもそうですけど、
篤さんともこんなにも仲良くなれて良かったです」


そう溢した私の言葉に、篤が照れているのが分かった。


「別にてめぇとそんな仲良くしてねぇだろうが」


「けど、元旦のあの山の中で、
一晩中私の手を握ってくれたじゃないですか?」


そう言って、それを思い出して自分で照れてしまった。


「べ、別に手ぐらい、普通だろうがよ」


篤は私の手をそう言って握り、強く握りしめた。


「そうですよね。
手ぐらい普通ですよね…」


私は自分でも分かるくらい紅くなり、恥ずかしくて俯いてしまう。


元旦の時以来、篤と手を繋いだけど。


相変わらず、暖かい手だった。




そして、それ以上進まない私達の関係。



それが、一昨日の篤との出来事。
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