LOVEPAIN⑥
「芽衣子の元に、行けなかったんじゃなくて、俺は行かなかったんだ」


「何言ってるんですか?」


「芽衣子に電話で連絡した時、別にいくらでも言い訳出来た。
後日改めてって言う事だって。
けど、そんな言葉が出て来なかった。
広子が倒れて病院に付き添うから行けない、としか伝えられなかった」



「芽衣子さんは何て?」


「分かった、って。
両親には私から説明しておくからって」


「きっと、芽衣子さんは分かってくれてますよ。
私が目の前で倒れて、成瀬さんも焦ってるんだって」


きっと、芽衣子さんは後日またその食事会をセッティングしてくれると思う。


「どうだろ?
芽衣子はなかなか賢い女だから。
その判断を誤らないと思う」


「その判断って、何ですか?」


先程の成瀬の口から語られる事は、
まるで芽衣子さんと別れるみたいな話ばかり。


なんでそうなるの?


たった一度、私を助けただけで。


今日が、成瀬と芽衣子さん二人の将来にとって大切な日だった事は分かるけど。


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