LOVEPAIN⑥
「今日、広子ちゃんに来て貰ったのは、
私と遥さんが別れるのは、広子ちゃんのせいじゃないって言いたかったから」


芽衣子さん側の事情は分かったけど、
本当に私のせいではないのだろうか…。


本当に、成瀬がまだ私の事も思っているのならば、
私のせいでもあるのではないだろうか。


「後、ずっと言いたかったんだけど」


そう言って、芽衣子さんはハッキリとその言葉を口にした。


「広子ちゃんなら、遥さんよりもっと良い人が居るよ。
そりゃあ遥さん顔はカッコいいし、優しいのは優しいけど。
私にも広子ちゃんにも、結局は不誠実だし。
私も広子ちゃんも、この人の中途半端に振り回されて」


芽衣子さんの言葉はけっこう辛辣で、
成瀬も若干苦笑していた。



「でも、芽衣子さんと付き合ってからの成瀬さんは、
芽衣子さんに対して誠実でしたよ」


芽衣子さんが現れてから、
成瀬は一切私に期待を持たせるような事はしていない。


それに、最近の私と成瀬の関係は、
本当にAV女優とそのマネージャーの関係でしかなかった。



「そうかな。
少なくとも、私に広子ちゃんの事をまだ好きな事がバレてる時点で、
それって誠実なのかな?」


そう訊かれて、言葉が返せなかった。

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