LOVEPAIN⑥



運ばれて来る料理は、どれもとても美味しかった。


ネットの口コミが良いからこの店を選んだと、成瀬が話していた。


食事も美味しくて、
成瀬の母親であるなっちゃんとの会話も楽しく弾んでいた。


「この子本当に素行が悪くてね。
高校の時なんか、何回私学校に謝りに行ったか。
割った窓ガラスの弁償代とかねぇ」


なっちゃんはため息を吐き、懐かしむように笑っている。


そう言えば、成瀬は私と同じ高校の出身。


もし、そんな成瀬と同じ時にあの学校で過ごしていたら、
私は絶対にそんな成瀬とは関わらないだろう。


いや、私だけじゃなく、皆関わらないだろうな。


私達の出たK高校は、超が付く進学校で偏差値も県下一だったから。


「えー、当時なっちゃんも、
私が後から謝ってあげるから、俺の好きなようにすればいいって言ってたじゃん」


拗ねたようにそう口にする成瀬。


なんとなく、それは甘えているように見える。



以前、本人も認めていたけど、
この人はマザコンなんだな。


なっちゃんが母親なら、マザコンになる成瀬の気持ちが凄く分かるけど。


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