LOVEPAIN⑥
その後、4人で丸いテーブルを囲み、
話した。


その会話の殆どが、
なっちゃんと井上さんとのノロケのような話。


二人は結婚してけっこう経つのだろうけど、
見ててこっちが照れるくらいに仲が良い。



話の中、一度遥と二人でうちに遊びに来ないか、と、
私はなっちゃんに誘われた。


「まぁ、考えておく」


私が答える前に成瀬がそう言ったけど、
その機会はないだろうなぁ、と思った。


今回、私は成瀬の彼女の振りをしているだけだから。


また二度三度と、その役目を成瀬は私に頼まないと思う。



店を出ると、22時近くて、けっこう長い時間その中華料理屋に居たみたい。


「じゃあまたね、広子ちゃん」


「はい。今日は本当に素敵な時間をありがとうございました」

私はなっちゃんに頭を下げる。


「遥もまた」


「ああ」

母親との別れが寂しいのか、その成瀬の声は少し沈んでいるように感じた。


結局、なっちゃんとその井上さんは二人仲良く夜の町へと消えて行き、

私と成瀬はコインパーキングに停めていたアルファロメオに二人で乗り込んだ。

< 442 / 501 >

この作品をシェア

pagetop