LOVEPAIN⑥
「ああ…。
俺、あの時避妊したんだけどね。
避妊ジェルってやつ、前に店のやつがくれたのを思い出して使ってみたんだけど」


‘ーーこのローション店の奴に貰ったんだけど、凄く気持ちよくなれるみたい。
クリスマスだし使ってみよっかーー’


もしかしたら、あれの事だったのだろうか?


私が気付かないように、そうやって嘘を付いて、それを使った。



「まあ、確かにそんなので避妊が本当に出来るのか眉唾の所もあったけど。
俺もちょっと不安になったから、少し早く広子の事解放したんだけど。

間に合ったでしょ?」


そう笑う顔を見ていると、あの日私が家に帰り、慌ててアフターピルを飲んだ事すらも、
知られているかのよう。


「そのアフターピルも、72時間以内じゃなくてもそれなりに効果あるみたいだし。
お前ネットとかしないからどうせそこまで知らないだろうなって」


「それって、酷くない?」


私も散々ナツキを傷付けたけど、
流石にしていい事と悪い事が有ると思う。


「酷いと思ってる。
ちょっと意地悪しすぎたかな、って。
お前の病気の事も有ったから、それはちょっと気になってたけど」


ナツキと音信不通だった間に、私は一度倒れた。


それはこの事とは関係ないけども。


もし、ナツキとこんな風になっていなかったら、
私の病気の事をナツキに相談する事も出来たのに。


本当に、私とナツキの関係に、未練も情さえも無くなっている。


これだけは何が有っても揺るがないと思っていた、
ナツキに対する信頼さえも失われた。


< 457 / 501 >

この作品をシェア

pagetop