LOVEPAIN⑥
「じゃあ、私も1つ貰いますね?」


そう言ってそのチョコレートを、
口に放り込んだ。


そして、噛んだ瞬間、中からドロッと何かが出て来て、
それが不味いってなんの。


まるで、芳香剤でも飲み込んだみたい。


そのチョコレートの箱を見ると、
バラのような花の絵が描かれていて、
これが入っているのか、と思った。


「篤さん、もうこれは食べなくていいですよ!」


その箱を取り上げようとするけど、


「うっせぇな。
食うって言ってんだろ」


篤はそう言ってその箱を掴み、
また1つチョコレートを口に放り込んでいた。


「篤さん、このチョコレートは不味すぎですよ!」


「だったら、んな不味いの買ってくんなや!」


そうキレられ、


「はい。ごめんなさい」


そう謝ってしまう。


付き合っても、あまり変わらない私と篤の関係。


だけど、バレンタインデーのこの夜は、自分史上最高に幸せなんじゃないかって思った。


だから、昼間に会ったナツキの事さえも、
もう頭の片隅にも無かった。






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