LOVEPAIN⑥
「だから、篤はクビだな」


「えっ!?」


そうやって驚く私を、成瀬は面白がって見ている。


「…まあ、篤さんがクビなら、
成瀬さんだってクビですよね?」


散々私に手を出したのだから。



「俺は代表だから、そんなくらいでクビにならないんだよ」


そう言って、笑っている顔は穏やかで、
本気で篤をクビにしようと思ってない事は分かった。


「私、篤さん…。
いえ、篤と付き合っています」


「篤、って呼んでるんだ」


それは付き合った日に、篤から言われた。



「お前、俺と付き合うなら、その敬語と、篤さんって言うの辞めろ。
付き合う以前に、タメなのに、変だろ?」


そう言われ、私は篤と同じ歳だった事を思い出した。


言われてみると、なんで今まで篤に敬語で話していたのだろうか?



「じゃあ、なんて呼べばいい?」


早速、タメ口で訊いてみる。


「それは、てめぇの好きに呼べばいいだろ?」


「じゃあ、あっくん、とか?」


「それは辞めろ!」


それで結局、私は篤と呼ぶ事になった。

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