LOVEPAIN⑥
「もし続けるにしろ、
お前体は大丈夫なのか?」


「はい…」


体調は最近、本当に良い。


夜も睡眠薬なしで眠れるようにもなった。


それは、篤の隣に眠っているからかもしれない。


付き合い出してから、毎夜篤の部屋のシングルの布団で、
篤と花子と私の二人と一匹で眠る毎日。


毎夜、一緒に眠っているのに、
篤は今だに私にキス以上の事はしない。

そのキスも、触れるだけの軽いキスだし。


付き合う前は、篤のその私に対しての誠実な所に惹かれたのだけど、
いざ、付き合い出してそこまで手を出されないと、
少し物足りない。


だから思いきって、篤に何故私にキス以上しないのか、夕べ訊いた。


「お前の事大事にしてぇし、
いざ、お前と、って、照れんだろ?」


そう答えていたけど…。


なんとなく、このまま一生篤には抱かれる事がないような気がしてしまう。



「なんかさっきから深刻な顔してるけど、
お前本当に大丈夫なのか?」


その成瀬の声に我に返る。


「はい。
篤と付き合ってから、本当に体調はいいです」


「そっかぁ。

けど、お前より篤の方が苦しいのは覚えておけよ。
好きなお前が仕事で他の男に触られんのもそうだけど。
やっぱ、俺とこうやってお前が一緒に居るの、篤は嫌だろ?」


そう言われて、そっかぁ、と思った。


篤は私がずっと成瀬に片思いしている事を知っていて、応援さえもしてくれていた。


そんな成瀬と、私が仕事でずっと一緒だなんて、

篤的に嫌だろうな。



ただ、成瀬に言われる迄それに気付かなかったって事は、
私的に、もう成瀬に対してそんな気持ちが薄れているんだろうな、って思う。


それくらい、彼氏である篤の存在が私の中で大きい。


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