LOVEPAIN⑥
「そう言えば、成瀬さんにお願いがあるんです」


「なんだ?
ま、お前にはこの前なっちゃんに会って貰った恩があるし、何でも聞いてやるよ」



「この前ナツキと会って、ちゃんと関係を清算したんですけど、

ただ、指輪と合鍵返し忘れたんですよね。
成瀬さん代わりにその指輪と鍵ナツキに返しといてくれません?」


「そんなお願い、聞けるわけないだろ」


まさかの断りに、えっ、と成瀬を見た。



「えっ?なんでですか?
何でも私のお願い聞いてくれるって」


「いや。
例えば、漫画や本とかなら、代わりに返しといてやるけど。

流石に、指輪や鍵は…」


「え、そうですか?」


「じゃあ、俺も芽衣子の部屋の合鍵返しそびれたから、
お前に代わりに芽衣子に返せって、頼んでいいか?」


「そんなの無理ですよ!」


合鍵とかそんなの、私が芽衣子さんに渡せるわけがない。

あっ…。



「だろ?
まあ、俺は部屋に有った芽衣子の私物と一緒に、
そのうち送るけど」


送るのかぁ…。


ナツキの部屋の住所知らないなぁ。


それをナツキに訊くのもなぁ。


とりあえず、この件は保留にしよう。
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