ＬＯＶＥＰＡＩＮ⑥
スタジオの大きな鉄扉が、ガン、っと開けられる音がした。


そこからこちらに向かって歩いて来るのは、篤。


その顔は、怒りを浮かべている。


突然の篤の乱入で、スタジオは皆驚いて、その篤に視線が集中している。



「てめぇ、広子に触んなっ」


篤はそう怒鳴り、その私の背後に居る男性の髪を、思い切り掴み、ベッドから引きずり下ろした。


「篤、ダメ！」


私は咄嗟にベッドを降り、その篤の腕を掴む。


それに反応するように、回りのスタッフ数人がこちらに走って来て、
そんな篤を取り押さえていた。


「いてぇ、お前ら離せっ！」


篤はうつ伏せに、まるで犯罪者のように数人の男性に床に押さえつけられている。


私は力が抜けたように、床に座りこんだ。


「あー、とりあえず今日はもう中止」


金村監督はそう言って、スタジオから出て行く。


それを、慌ててスタッフの一人が追っている。


「…もう何もしねぇから、お前ら離せっ！」


篤は落ち着いたのか、力が抜けたように、抵抗を辞めていた。



私は段々と冷静になると、
とんでもない事になってしまった事だけは、分かり始めていた。


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