LOVEPAIN⑥
あれ?
成瀬…かな?
遠目で、スーツを着てこちらを振り返ったその男性を、
一瞬はそう思った
それ程、成瀬に似ている
だけど、こちらに歩いて近付いて来る程、
違うのだと分かる
あれは、成瀬の腹違いの兄
確か、成瀬は彼を
“和真さん”と呼んでいた
でも、この人マンションの近くで、
何をしていたのだろうか?!
“――あの人、それからも時々、俺の前に現れるんだ。
今日のは偶然だけど、時々――”
成瀬が以前言っていた言葉を、
思い出した