LOVEPAIN⑥


「おいっ!大丈夫か?!」


背後から肩を掴まれ、

その声が成瀬に似ているから、
驚いて振り返ってしまう



だけど、私の肩を掴んでいるのは、

和真さん



顔だけじゃなくて、
声迄成瀬に似ている




「はな…し…て!!」


その手を振り払い、
そのまま地面に倒れ込んでしまう




「過呼吸…」


そう呟いているのが、
私の耳に届いた



和真さんは地面に私が落としたショップの紙袋を漁り、

中からビニールのショップの袋を取り出していた



その中身を取り出して、
それを私の口元に当てて来るけど




「だめ…」


私はそれを手で払い、

地面に落ちている白いカットソーを掴み口に当てた



そうしたら安心して落ち着いたのか、

息を止め、吐き出す事が思うように出来て来た



暫くの間そうしていると、

少しずつ苦しさが消えて行く――…

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