レモンキャンディーにさようならを

その日、部室の鍵を返しに職員室へ向かった。


古賀先生に鍵を渡すと、
「川越さん、少しだけ先生に時間をくれませんか?」
と聞いてきた。

「え?」


「教室の掲示板に貼るお知らせがあるんですが、手伝ってはもらえませんか?」



私は黙って頷き、古賀先生と教室まで移動した。





2年3組の教室。
部活時間も終わって、誰もいない。




掲示板の前に立った古賀先生は、
「川越さんが文芸部の課題で書いた作文、読みました」
と静かな口調で話し始めた。


「えっ!?」


思わず焦ってしまう。

だって、その課題は「夢」というテーマで書いた作文だと思い出したから。





「『夢』といっても人それぞれの内容でしたが……、先生は川越さんの作文が心に残りました」

< 4 / 34 >

この作品をシェア

pagetop