レモンキャンディーにさようならを
胸の真ん中が、じんわりと温かいものに包まれてるみたい。



何か言わなくちゃ、と思った。


「あ、あの……」


古賀先生の顔を見る。


なんでだろう、急に耳全体に熱を感じて、なんだか恥ずかしくなってきちゃった。



言葉が出てこない。


「川越さん?」

不思議そうな先生の声に、私は慌てて、
「ありがとうございます」
と言った。

咄嗟(とっさ)の言葉。


それからレモンキャンディーを持っている手を少し上げた。



古賀先生はニコニコ笑って、
「どういたしまして」
と、掲示物を手に取った。


長くて細い指。
でも女の人とは違って、ゴツゴツと骨張ってる。


……キレイ。



一瞬ぼんやり眺めてしまったけれど、すぐにハッと我に返って、
「手伝います」
と掲示板の前に移動した。


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