殺人感染2
「なんの用でうちに入り込んだの!?」


女性は尚も叫ぶ。


俺は女性の言葉に眉を寄せた。


『うちに入り込んだ』ということは、ここは女性の家?


「もしかして、森安さんですか?」


俺は女性が警戒していることも忘れ、身を乗り出すようにして聞いた。


女性は一歩後退して「だったらなんなのよ」と、答える。


やっぱりそうだ!


ということは、この人が文隆の妹さんだ!


目の前に現れた大きな希望に気持ちが焦り始める。


だけど今俺は不審者扱いになりつつあるから、慎重に言葉を選ぶ必要があった。


「突然押しかけてすみません。実は俺、文隆さんの事件を調べているんです」


そう言うと、女性はますます怪訝な表情になった。


「まさか、また報道陣じゃないだろうね? 過去の事件をほじくり返す気なの!?」


女性の言葉に俺は大きく首を振った。


「そうじゃないです。俺はただの高校生で……」


そこまで言って一瞬言葉を切った。


高校に通っていないことを思い出してしまったのだ。


「高校生?」


「はい。実は一ヶ月前まで隣町にいて、ここまで逃げてきたんです」


そう言うと女性は驚いたように目を丸くした。
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