殺人感染2
「そんな子が、どうしてうちに?」


「信じてもらえないかもしれないですが……」


俺は隣町で起きている感染を調べている間に、文隆に行き着いた経緯を説明した。


説明は黙って聞いてくれていた女性だが、最後には大きく首を振って「そんなことあるはずない」と、呟いた。


「信じられない気持ちはわかります。だけど実際に起こっているんです!」


俺は必死の思いで女性に訴えかける。


ここで信じてもらわないと、俺にできることが途切れてしまう。


「お兄ちゃんのアザが感染していくだなんて、そんな……」


「文隆さんには右耳に星型のアザがありましたよね。それです!」


「そんなのは事件のことを調べればわかるでしょう?」


そう言われると弱い。


俺たちも調べた結果アザと文隆の関係に行き着いたのだから。


「とにかく助けてほしいんです! これ以上人が死ぬのは耐えられない!」


俺は女性にすがりつくようにして言った。


その場に膝をつき、額を地面に押し付けて土下座をする。


この際なりふり構ってなんていられない。


「ちょっと……」


女性は困ったように眉を寄せ、そして握り締めていたホウキを横へ置いた。


「わかったわ。お兄ちゃんのことを話してあげる」


そして、根負けしたようにそう言ったのだった。
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