殺人感染2
「家の中から出られないように、そこだけ隔離した部屋ね。食べ物や飲み物はそこに運んで、トイレは床の一部を切り取って作っていたの。当時はどこの家も穴を掘っただけのトイレだったから、それを室内も作った感じね」


「それってまるで……」


牢屋だ。


言いかけて言葉が喉の途中で止まった。


文隆の妹である森安さんにその言葉を言うのがためらわれたのだ。


しかし、森安さんはうなづいた。


「そう。牢屋みたいでしょう? 当時はそういう場所のある家があって、精神疾患などにかかった家族を隔離したりしていたのよ」


「そんな……」


そんなのまるで人権侵害だ。


そんな場所に隔離されたら、余計に精神がおかしくなるかもしれない。
< 28 / 54 >

この作品をシェア

pagetop