殺人感染2
「学校……ですか」


俺はボソリと呟いた。


先生はゆっくりと、穏やかな表情でうなづく。


隣町はいまだに感染が続き、壊滅的な状況になっているらしい。


ニュースでは連日隣町のことが放送されていて、ついには街が封鎖されたと伝えられた。


学校や家に戻るどころか、俺は隣町に入ることすら許されなくなってしまったのだ。


「そう。純也君はまだ16歳だから、好きな道を選べると思うの」


先生の言葉に俺の心が揺らいだ。


俺の好きな道。


そう言われて思い浮かぶのは彼女だった遥との楽しい毎日だ。


遥と、他の友達と平和な日常を過ごすことだ。


だけどそれはもう戻ってこない。


俺が二度と手にすることのできない未来だ。


「考えておきます」


俺は小さな声でそう言うと、先生に小さくお辞儀をしてベンチから立ち上がったのだった。
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