殺人感染2
なんでもいい。


思いつくことを聞いて、それを実践していく他ない。


「文隆に、なにか他の娯楽を与えるとか」


数分考えた後、顔を上げて桃田さんは言った。


「他の娯楽ですか?」


「そうよ。文隆にとっての娯楽は映画だけだった。しかもスプラッターよ。それしか知らなかったから、今でも人殺しに固執してしまっているのかもしれない」


「たとえば、どんな娯楽を知ってもらえたらいいと思いますか?」


聞くと、桃田さんは突然立ち上がった。


「そんなの簡単よ。今から買い物へ行くから付き合ってくれる?」


元気よく言う桃田さんに俺はせかさせるようにして立ち上がった。


一体どこへ行くんだろう?


そう思ったが、桃田さんは答えてくれなかったのだった。
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