殺人感染2
☆☆☆

俺が今一番したいことはなにか?


2段ベッドの上で眠れないまま考えた。


俺が使っている部屋は6畳で同い年の男の子と共有していた。


同い年ということですぐに打ち解けることはできたけれど、それでも俺の心の中には常に昔の友人たちとの思い出があった。


普通に引っ越して離れ離れになったとかなら、まだ納得できたかもしれない。


でも、感染して灰色の目になった友人たちを思い出すと、どうしてもやるせない気分になる。


「俺がしたいことは……」


2段ベッドの下から聞こえてくる寝息を聞きながら呟く。


新しく学校へ行くこと?


就職すること?


どちらも違う。


前へ進むことも大切だと思う。


だけど隣街の感染はいまだに止まっていないのだ。


連日のニュース番組を聞いて吐くほどのストレスを感じている俺が、真っ直ぐ前に歩けるはずがない。


じゃあ、どうすればいい?


どうすれば俺は前を向ける?


窓から差し込む月明かりを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。


「事件を解決すること」


小さく呟いてみると全身の毛が逆立った。


でもそれしか方法はない。
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