殺人感染2
☆☆☆

文隆が余計宣告を受けた6日後、その日はなんだかいつもと様子が違った。


朝起きたときから妙な胸騒ぎがあり、その胸騒ぎを抱えたまま学校へ向かったのだ。


学校内の様子はいつもと変わらなかった。


教室へ向かい、木製の重たい椅子に座ってカバンから教科書を取り出す。


そのうち文隆も登校してきて自分の席に座った。


文隆に余計宣告されたことを打ち明けられてから、私は毎日考えていた。


文隆のためになにかできることはないか?


励ます方法とか、楽しんでもらう方法とか、いろいろな思いがよぎるものの、文隆はほとんど家から出ないから、なかなか実行に移すのは難しそうだった。


あげく、こうして学校へきているものの周りの生徒からイジメを受けている。


今日も、また。


「なぁんだよ、来たのか男女」


文隆よりもずっと体格のいい男子生徒たちが文隆を取り囲む。


嫌味から始まって肩を小突いたり、頭を叩いたりして笑い声を上げる。


それを見ているだけで胸が悪くなってくる。


でも、女である私が間に入れば文隆は更にイジメられることがわかっていた。


だから私はこっそり先生に知らせることしかできないのだ。


その先生だってあてにならない。


アザがあり、女子生徒のように華奢な文隆を守ろうとしたところを1度も見たことはなかった。


どうして文隆がこんな目にあわないといけないのか、私には到底理解ができなかった。
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