殺人感染2
もう1度、あの恐怖へ立ち向かう勇気はあるのか?


隣町への入り口はすべて封鎖されている。


そんな状況で、俺にできることはあるのか?


自問自答しながら体が熱くなるのを感じてきた。


心臓が早鐘をうち、早く早くと自分をせかしている。


俺はここへきてからずっと隣町のことが気になっていた。


どうにかしてとめられないのだろうかと、考えない日は1日もなかった。


忘れようと試みたこともあるけれど、友人も恋人も家族も奪われてしまって、忘れられるはずもなかった。


「事件を解決すること」


もう1度呟いた。


今俺がやりたいこと。


やらないといけないことが、口に出すことで一気に明確なものへと変化する。


こんなところで眠っている場合じゃない。


こうしている間にも感染は進み、苦しんでいる人がいるんだ。


勢いよく布団を剥ぎ取って上半身を起こした。


朝まで待っている余裕はなかった。


明るくなった視界が曇ってしまう前に行動したかった。


俺はそっと施設を抜け出して、明かりがともっている方へと駆け出したのだった。
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