殺人感染2
それなのに文隆は余計宣告をされた。


生まれてきたときから積み上げられた大きなストレスに追い討ちがかけられたのだ。


そしてあの日、ついに爆発してしまった。


自分をイジメてきた人間を殺すことですべての鬱憤を晴らしたのだ。


それでも、文隆の気持ちは晴れなかった。


もっともっとと願い、それは年月を超えて、アザとなって俺たちの前に再び出現した。


感染した生徒たちはみんな楽しげに人を殺す。


文隆にとってそれは最上級の快楽であったからだ。


「もう、人を殺す必要なんてないからな」


俺は右手を墓に触れて話かけた。


「お前はいくらでも自由にできるんだ。恨みに縛られる必要もない」


言いながら、それは自分も同じだと感じた。


これですべてが終われば俺は自由になれる。


悲しみや苦しみが消えることはないだろう。


それでも、前をむくことができる気がする。


その時、暖かな風が俺と森安さんの間に吹き抜けて行ったのだった。
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