殺人感染2
以前の家の場所も書いてあったが、隣町への侵入は禁止されているからどうせ行くことはできない。


調べてみるとすれば、引越し先のほうだ。


俺は一度スマホから目を離して目頭を押さえた。


夢中になって調べていたから、窓の外はすでに明るくなり始めている時間になっていた。


長時間イートインスペースに居座っている俺に、店員もさすがに怪訝そうな目を向けている。


俺は椅子から立ち上がると、朝ごはん用におにぎりとお茶を購入してそのまま外へ出た。


朝のさわやかな空気に混ざって、隣街から血の臭いが漂ってくる。


視線を向けてみると、コンビニから100メートルほど離れた場所に白いバリケードが築かれていて、その向こうから物々しい雰囲気を感じ取った。


ここからほんの少ししか離れていないのに、向こうには地獄が広がっている。


俺はグッとペットボトルを握り締めて、歩き出したのだった。
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