Re:START! ~君のバンドに、入ります~
元気が出る歌
「はあ……」
お風呂に入ったら、思わずため息が漏れてしまった。
嫌な感じで律くん、響斗くんと別れてしまったな。
あんな風に「無理無理!」って言うだけじゃなくて、もっと冷静に「私がいかにバンドに向いていないか」を説明するべきだったと思う。
でも結果的に無理なものは無理だ。
あれで律くんが諦めてくれたら、それはそれでいいような気もする。
「うーちゃんどうしたのー?」
そう言ったのは、私と一緒にお風呂に入っている奏多。
まだ五歳の、年の離れた弟だ。
ため息なんてついたからか、心配そうな顔で私を見つめている。
「あ、ううん。なんでもないよ!」
弟に気を使われるなんて、だめだよね。
私は無理やり笑ってみせた。
すると、奏多は「なーんだ、よかった」と屈託ない笑顔を浮かべる。
それに安心したけど、そのほほえみにどこか陰りがあるように見えて。