Re:START! ~君のバンドに、入ります~
気にしていたとしても、頑固になってるかもしれないから、素直な奏多の方から謝るのがいいんじゃないかなと思った。
「そっか……。じゃああやまってようかな」
「うん」
「ねえ、それじゃあさ。あしたあやまれるように、げんきがでるうたうたって!」
にこっと微笑んで奏多が言う。
私はよく、お風呂で歌を歌う。
奏多は私の歌声をやけに気に入ってくれていて、特に落ち込んだ時にせがまれることが多かった。
もちろん小さな弟に対してなら、緊張することもなく思いっきり歌える。
「いいよ! 何の歌がいいかな?」
「えーと……。ピケモンのうた!」
ピケモンとは、小さな子達に流行っているアニメのことだ。
最近、奏多からはこのリクエストが多い。
私は奏多の元気が出ることを祈りながら、ピケモンの歌を大きな声で歌った。
「あー! やっぱりうーちゃんのうただいすき!」
歌い終わった後、満面の笑顔で奏多が言った。
私もなんだか嬉しい気持ちになる。
「そっか、よかったよ」
奏多は、私の歌をいつも喜んでくれる。