Re:START! ~君のバンドに、入ります~
消えないトラウマ

 パソコンから繋いだスピーカーから、ドラムロールが流れてくる。

 もう何百回も聞いた、RE:STARTの曲の冒頭。

 STAR STARTにはドラムがいないから、ドラムの音は響斗くんがパソコンのソフトで打ち込んだ音を流すのだ。

 そして律くんが奏でるギターの主旋律と、響斗くんが演奏する低いべース音が聞こえて。

 私はマイクを手に、歌い出す。

 そう、思いっきり。

 ――そうやってるつもり……なんだけど。


「はあ……。やっぱりうまく声が出ないよ……」


 一曲演奏し終えたところで、私はがっくりとうなだれる。


「まあ、まだ始めたばかりだし。カラオケでうまく歌えても、生バンドだといつも通りに歌えないって人は多いみたい」

「そのうち歌えるようになんだろー」


 優しいフォローをしてくれる響斗くんと、能天気そうに言う律くん。


「うう……そうかな」


 ふたりは私の下手っぷりを気にしていないみたいだけれど、私が足を引っ張ってると思うと、やっぱりへこんじゃう。

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