Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 新参者の私のことをこうしてちゃんとフォローしてくれるし、わからないことがあれば丁寧に教えてくれる。


「そうそう。まだ緊張してんのかな? 俺たち、バンドやる前までほとんど話したことなかったしね」


 響斗くんはというと、昔からの印象通りやっぱり優しい。

 私がとちっても、「ドンマイ!」とさわやかに笑って流してくれる。

 でも、ふたりが私を受けいれてくれればくれるほど、申し訳なくなってしまうんだ。


「緊張……してるのかなあ、私」
 

 一度思いっきり歌えた手前、もうふたりの前では大丈夫かなって思い込んでいたけど。

 人前で歌うのが怖いトラウマは、やっぱりまだ残っているのかもしれない。
 
 最初の一回は、奇跡の一回だったのかもなあ。


「緊張しなくていい!……って言いたいところだけど、そればっかりは自分でどうにもならないからね。とにかく、慣れるしかないよ」

「う、うん……。そうだね」
 
 
 ――そうだ。
 
 律くんや響斗くんと、家族と思えるくらい仲良くなれば、きっと緊張なんかしないはず。
 
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