Re:START! ~君のバンドに、入ります~
「詩乃が来るのが遅いから、なんかあったのかと思って来てみたら……。おい、どういうことだよ」


 律くんは姫奈ちゃんに睨みつけながら言う。

 低い声で静かに怒っている様子は、怒鳴るよりもかえって怖く感じた。


「律くん……! ち、違うの! これはっ!」


 意中の律くんに怒られたことに、姫奈ちゃんはとても焦っているようだった。

 響斗くんはそんな姫奈ちゃんの手を離した。

 もう、私に暴力をふるうつもりはないと判断したんだと思う。


「詩乃ちゃん、大丈夫?」


 響斗くんは私の方に近寄ってくると、そう言った。

 その優しい口調に、張り詰めていた心が解けていく。

 泣きそうになったけれど、私はぐっと堪えた。


「う、うん。大丈夫……」


 笑ってそう言って見せる。 


「あのね……! 詩乃ちゃんが律くん達と昨日何か音楽室でやってたの見ちゃって……。おとなしい詩乃ちゃんには、ちょっと似合わないんじゃない?って話してただけなの……」


 先程とは打って変わって、しおらしい態度で言う姫奈ちゃん。

 しかし律くんは、姫奈ちゃんをさらに鋭く睨んだ。


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