Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 エレキバージョンの「RE:START」は勢いがあって元気が出るようなイメージだけど。

 アコースティックバージョンの方は、しっとりと歌詞をちゃんと聞かせるような、そんな感じ。


「アコ―スティックの『RE:START』もいいね!」

「そうだね。俺たちも初めてやってみたけど、これはこれで味があるね」

「ライブでやってもいい気がしたなー。だけどあんまり時間もねーし、無理か」


 ライブでは、「RE:START」の他に、流行っているバンドの曲を二曲コピーして演奏することになっている。

 持ち時間が二十分しかなくて、その間に準備と片付けも含まれるから、さすがにエレキもアコギも、というわけにはいかないだろう。


「そっかあ。それじゃ、次の機会にできたらいいなあ」


 アコギバージョンを気に入ってしまった私は、少し残念な気持ちになった。


「そうだな。その時は生歌を頼むぜ」


 そんな私に向かって、少し意地悪く笑って律くんは言う。


「う……。ど、努力します……」


 たじたじになりながらも、やっとのことでそう答えた。

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