Re:START! ~君のバンドに、入ります~
 そうだよね。そのうちちゃんとライブでも歌えるようにならないと……。


「まあまあ。詩乃ちゃんはそんなに焦らなくていいからさ。とにかく文化祭まであと少しだよ。今は祭りのライブに向けて、頑張ろう」

『おー!』


 響斗くんの言葉に、私と律くんは声を揃えながら拳を天へと突きあげた。

 少しでもいいライブにできるように、とにかく頑張らなくっちゃ!





 文化祭の前日に、当日のステージ発表のプログラムが配られた。

 私たちの出番は、なんと最後。

 ステージ発表は全校生徒が体育館に集まり、近隣の人も入場することができる。

 まさかそんな大きなイベントのトリになってしまうなんて。

 すでに歌は録音済みだから、私がへまをやらかすことはないけれど。

 それでもやっぱり、緊張する。

 前日の最終練習を終えて家に帰ってきた私。

 お母さんはリビングでワイドショーを見ながらソファに座ってくつろいでいた。

 奏多はその近くで、ブロック遊びをしている。


「……お母さん」


 意を決して、私はお母さんに明日のプログラムを差し出した。


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