レイン。序章
「子供か?」

二番目の男が先頭の男にささやいた。

先頭の男はうなずいて、俺に話しかけた。

「こんなところで何をしているのだ?…お前、目が……」

俺の膝は震え始めていた。

だが、それを悟られたくなかった。

俺は、短剣を腰の高さに水平に持った。

そして、一歩、前に踏み出そうとした。

その時、急に平衡感覚が失われたようなかんじがした。

俺は膝をついて、そのまま前に倒れこんだ。

身体が浮くような回転するような感覚の中で、妹が泣き叫ぶのが聞こえた。

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