レイン。序章
テントの外から、メルがはしゃいでいる声が聞こえる。

年の近い子供が何人かいたので、仲良くなったらしい。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!もうお怪我はいいの?」

メルがテントに入ってきた。空間がパッと華やぐようなかんじがした。

「よかった。お兄ちゃん、元気になったんだね!」

メルが俺にしがみついてきた。

太陽のにおいがした。

メルは、小麦色のふっくらとした頬を、俺の胸に押しつけてきゃっきゃっと笑った。

俺は彼女の髪を優しく撫でてやった。

「友達は?外にいるんだろ?早く戻りなさい。メルのことを待っているよ」

メルはきらきらと笑いながら、駆け出していった。

その様子を、微笑みながら眺めていたサンドラに、俺は向き直って言った。

「連れていってほしい場所が、あります」
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