レイン。序章
俺とサンドラは、駱駝に乗って砂漠へ出た。

「どのあたりだ?」

「たぶん……ここから西に、駱駝なら30分ほどです」

しばらくすると、砂丘の中から、駱駝の脚が突き出しているのが見つかった。

父さんはここで奴らに襲われたのだと思った。

奴らの目当ては彼の積み荷だったろう。

父さんは乗っていた駱駝を殺されて、走って逃げたが追いつかれたのだ。

きっと、何度も斬りつけられて、なぶり殺しにされたに違いない。

奴らは、積み荷を奪うだけでは飽き足らなかったのだ。

殺戮を楽しんでいたのだ。

父さんは、そんな人間の餌食になったのだ。

俺は、彼を救えなかったことを、心の中で詫びた。

けっきょく、近くを探しても、父さんの遺体は見つからなかった。

砂に埋まってしまったか、もしくは獣に食べられてしまったのだろうと思った。
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