レイン。序章
俺の心臓は早鐘のように打ちはじめた。

背中の傷が疼いた。

何より、左目が暴れるように痛んだ。

なんという因縁だろうか。

奴らの次の標的は、この集落だったのだ。

俺は目を固く閉じて、小屋の壁にしがみついた。

目眩がひどくて、倒れてしまいそうだった。

妹が俺の袖をつまんで、心配そうに見上げていた。

「……ン、レイン!」

ゴートが小屋の戸を開けた。
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