レイン。序章
「何やってるんだ。乳搾りくらいで時間かかりすぎだぞ」

そこまで言って、彼は俺の異変に気づいた。

「レイン、お前、なんて顔色だよ。真っ白だぞ」

「何でもありません。大丈夫です。それより、あの見慣れない二人組は、誰なんですか」

「ああ、彼らは旅人だそうだ。街へ行く道が分からないと言うので、今夜は泊めてやろうと長が言い出してな」

俺は嫌な予感がした。

「……それで、明日はどうするんですか」

「俺が二人を街まで送っていくことになっている。それがどうかしたか?」

予感は的中した。
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