レイン。序章

俺とサンドラとゴートは、サンドラのテントに入った。

メルは言いつけどおりにしているうちに本当に眠ってしまったらしい。

すうすうという寝息がかすかに聞こえる。

「レイン、話とはなんだ」

サンドラが口火を切った。

「単刀直入に言います。あの旅人は盗賊です。ここを襲撃するつもりです」

「なんだって……」

「何故わかるのだ」

「奴らが、俺の家族を殺した盗賊の一味だからです。先日、市場で見かけたとき、次の犯行計画を既に立てていました。必ず彼らはここを攻めてきます」

何ということだ……と、サンドラは頭を抱えた。

「ではあの二人は、襲撃に先立って、下見をしに来ているというのか？」

「もちろん、それもあります。でも、それだけじゃない。奴らは集落で最も強い人間を殺しに来たんです」