レイン。序章
ゴートの表情が固まった。

俺は静かに続けた。

「あの二人を街まで送っていくと言い出したのは、ゴート、貴方からでしたか?」

「……いや、おれじゃない。あいつらが、俺に送ってほしいと言い出したんだ」

「奴らは、誰がどのくらい強いのか、見極めるのがうまいのだと思います。だから、差し向けられた。弱いふりをしてゴートを街までおびきだし、全員でよってたかって殺して、それから一気にここを潰すつもりに違いないのです」

ゴートは腕組みをして考えこんでしまった。

サンドラもうつむいたままだ。
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