レイン。序章
俺はしゃがみこんだ姿勢で、腰の短剣に手をかけた。

いつでも飛び出せるような態勢を取る。

背中にはあの大剣を背負っていた。

動きづらくなることを覚悟したうえでの装備だった。

俺は耳をすました。

風の音がする。

その中に、規則的な雑音が混ざる。

それはだんだん、輪郭をはっきりさせてきて、馬の蹄が砂を蹴る音だと分かるのには時間はかからなかった。

「来たぞ!」

ゴートの合図が響いた。
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