レイン。序章
また一つ、また一つと騎馬が崩れていく。

宙を矢が飛び交う。

怒号。

嘶き。

地響き。

悲鳴。

俺は、砂煙の向こうの光景を、少し離れたところから見ていた。

サンドラの言葉が頭の中で甦る。

よいか、レイン。

我らははるか昔から続いてきた遊牧の民だ。

争いを好まず、いさかいは話し合いで解決してきた。

だから、戦いのノウハウも持たず、武器を扱ったこともない。

普通に戦うかぎり、勝ち目はないのだ。

お前にはそれが、分かっておるのか?
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