レイン。序章
母さんは、石を積んで作ったかまどに、火をおこして、鍋をかけていた。

ミルクの香りがテントの中に充満していた。

母さんは振り返って言った。

「そろそろ、父さんが帰ってくるころよ」

やった!とメルが飛びはねた。

俺も笑った。

「俺、迎えに行ってくるよ」

「あたしも行く!」

「お前は待ってなさい。すぐ戻るから」

俺は妹の頭をぽん、と撫でた。
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