レイン。序章
「思い出したか」

「なるほど……。あいつが言っていた。左目を潰したはいいが逃げられたとな」

「俺は片時も忘れたことはなかった。あのとき、母さんの背中にナイフを突き立てた、お前のことを」

突然、男が何かに憑かれたように笑いはじめた。

「アッハッハッハ!ああ可笑しい。腹がよじれそうだ。おい小僧。お前もずいぶんおめでたいな」

「なに……?」
< 51 / 62 >

この作品をシェア

pagetop