レイン。序章
振り切った剣の反動で、俺はバランスを崩し、背中で砂の上を滑った。

素早く態勢を立て直し、振り返ると、グシャリと崩れた馬の後ろ姿が見えた。

前方に放り出された男は、首を絞められた鶏のような声で絶叫していた。

あまりに強く叫びすぎて、喉が潰れてしまったようだ。

脚の切断面を両手で押さえて、溢れる血液をせき止めようとしているかのようだった。

俺は左手で胸を押さえつつ、右手には大剣を持ち直して、男のもとへ移動した。

男は涙と鼻水と涎でぐしゃぐしゃになった顔を、憤怒の色に染めて、震えながら俺を見上げていた。

俺は顔を正面に向け、視線だけを下にして淡々としゃべった。

「どうだ。分かるか。理不尽に傷つけられ、踏みにじられる者の気持ちが」

俺の手の中で、剣の柄がガチャリと音を立てた。
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