レイン。序章
その日の明け方、集落の女子供とおちあった。

俺たちは死者が3人、負傷者が4人だった。盗賊団を殲滅できたのがせめてもの救いだった。

仲間の遺体は俺たちの手で墓を建ててやり、盗賊たちの死体はそのまま墓から離れた場所に捨ててきた。

「お兄ちゃん!」

メルが、集団から抜け出て、跳ねるように駆け寄ってきた。

俺は思いっきり、彼女を抱きしめた。

俺の腕の中で泣きじゃくる妹は、今までと何ら変わることなく、愛しい。

俺は、彼女の絹糸のように美しい髪に、指を通していつくしんだ。

しかし、その隣では、夫を亡くした女性がむせび泣いていた。

俺は、ふとサンドラのほうを見た。

怪我のため、仲間に腕を借りていた彼は、俺と目が合うと、哀しそうに顔を伏せた。

彼の周りにいる者たちも、決して俺の目を見ることはなかった。

「お兄ちゃん?」

不穏な空気を感じとったメルが、きょろきょろとあたりを見回しているのが場違いだった。
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