レイン。序章
外はもう暗くなっていた。

気温も、もうずいぶん下がっていた。

俺は、松明を持って歩き始めた。

空を見上げると、星がまるで、黒いビロードの絨毯の上に砕けたガラスの破片のように、空を覆っていた。

俺は、星の位置を頼りに方角や時間を知る。

今はどのくらい来ただろう。

父さんとはいつごろ会えるだろう。

俺は、そういったことを考えながら歩いていた。



砂丘の向こうから、一人の人影が走ってきた。

何度も砂に足を取られている。

その背後から、3騎の騎馬が現れた。

そのうちの一人が、高く掲げた剣を降りおろした。

人影が倒れた。

「レイン!逃げろ」

その人影は、父さんだった。
< 6 / 62 >

この作品をシェア

pagetop