俺が好きなのは、ずっとお前だけ。


ピピーッ!


試合終了のホイッスルが鳴り、部内紅白戦は、一之瀬くんの赤チームが勝利した。



「それじゃあ今日は、これで終了ー!」

「ありがとうございましたーっ!」


サッカー部の練習が、終わったらしい。


それと同時に一之瀬くんは、あっという間にファンの子たちに囲まれてしまう。


「一之瀬くん、お疲れ様」

「王子様、これ受け取ってくださいっ!」


一之瀬くん。ファンの女の子からあんなに沢山、スポーツドリンクとか、差し入れをもらって……凄いなぁ。さすが、人気者。


私が入る隙なんて、どこにもないし。


一之瀬くんの周りの女子たちを押し退けてまで、あの輪の中に入り込む勇気もない。


一之瀬くんもあれだけ色々ともらってたら、きっと私のはいらないだろうし。


そもそも私は、今日の日直の仕事のお礼として、一之瀬くんに渡そうと思っただけだから……渡せなくても、別に良いや。


このスポーツドリンクは、家で飲もうかな。


そう思い、その場を離れようと踵を返し歩き出したとき……。



「……なぁ。それ、俺にくれるんじゃねぇの?」


< 117 / 341 >

この作品をシェア

pagetop