俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
ピピーッ!
試合終了のホイッスルが鳴り、部内紅白戦は、一之瀬くんの赤チームが勝利した。
「それじゃあ今日は、これで終了ー!」
「ありがとうございましたーっ!」
サッカー部の練習が、終わったらしい。
それと同時に一之瀬くんは、あっという間にファンの子たちに囲まれてしまう。
「一之瀬くん、お疲れ様」
「王子様、これ受け取ってくださいっ!」
一之瀬くん。ファンの女の子からあんなに沢山、スポーツドリンクとか、差し入れをもらって……凄いなぁ。さすが、人気者。
私が入る隙なんて、どこにもないし。
一之瀬くんの周りの女子たちを押し退けてまで、あの輪の中に入り込む勇気もない。
一之瀬くんもあれだけ色々ともらってたら、きっと私のはいらないだろうし。
そもそも私は、今日の日直の仕事のお礼として、一之瀬くんに渡そうと思っただけだから……渡せなくても、別に良いや。
このスポーツドリンクは、家で飲もうかな。
そう思い、その場を離れようと踵を返し歩き出したとき……。
「……なぁ。それ、俺にくれるんじゃねぇの?」