俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
……え?
「美月の持ってる、ドリンク」
振り返るといつの間にか、一之瀬くんが近くに立っていた。
「俺、今すっげー喉渇いてんの。美月のそれ、欲しいなぁ」
一之瀬くんが、私の持っているスポーツドリンクを、きれいな長い指でさす。
「え、でも。一之瀬くん、他の女の子に飲み物とか沢山もらったんじゃ?」
「……もらってないけど? 全部、断った」
一之瀬くんの手には、自分のタオルがあるだけ。
「……どうして?」
「美月がせっかくドリンク持って、応援に来てくれてるのに。わざわざ他の子からもらう必要ないでしょ? 俺は美月のだけで十分。他のはいらない。
……つーか、美月のしか欲しくない」