俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
『美月のしか欲しくない』
自分を囲んでいた女の子たちを振り切って、わざわざここまで来てくれたの?
それで、そんな嬉しいことを言われたら……。
「どっ、どうぞ」
渡すしかないよ。
「サンキュー」
一之瀬くんに受け取ってもらえた。
やっぱり嬉しい。
「あー、美月が初めて俺にくれたドリンク、もったいなくて飲めねぇ」
「一之瀬くん、喉渇いてたんじゃなかったの?」
「そりゃまぁ、喉はカラカラだけど。すぐに飲めないというか。だって、好きな女が初めて部活を見に来てくれた記念……に? しばらく置いておきたいっていうか。って、何言ってんだろ俺」
いつも余裕そうな一之瀬くんの頬が、珍しく赤くなっている。
「飲んでもらったほうが、ドリンクもきっと喜ぶよ……?」
「そうだな。サンキュ、頂くよ。あと、今日は美月の応援のおかげで勝てたわ」
ぽんと、頭に大きな手のひらがのる。
「ありがとな」
一之瀬くんが、私と同じ目線の高さになるようにしゃがんで、笑いかけてくる。
「い、一之瀬くんが……頑張ったからだよ」
笑顔の破壊力が……やばい。