俺が好きなのは、ずっとお前だけ。
「よーしっ! 前島が良いって言ってくれたから、俺が美月よりも先に借りるぞー。案外、話の分かる奴だよメガネくん」
一之瀬くんがニコニコ顔で席に戻ってきた。
本を貸してもらえて、そんなに嬉しいんだ。
「良かったね、一之瀬くん。念願の本がやっと読めるね」
「おー。……こうなったら、マジでこの本読むしかねぇな。実は、ほんのちょっと興味ある程度だったけど。少し話盛りすぎたか。
俺、活字多いの苦手なのに……」
一之瀬くんったら、またひとりでボソボソ言っちゃって。
「……何か言った? 一之瀬くん」
「ううん。ああ、この本読むの楽しみだなー」
「読んだらどうだったか、私に感想教えてね? ネタバレしない程度に」
「はぁ? あー、おっ、おう。わ、分かった」
あれ? 一之瀬くんの顔が少しだけ引きつっているような? それに、いつもよりも少し歯切れが悪い?
気のせいかな……?